85人が持つ35億人分の富
EUでは、貧困層あるいは貧困層に陥るリスクに曝されている層が増加している。可処分所得値の中央値の60%以下の所得しかない層が貧困のリスクに曝されている層とされているが、12年の段階でEU28ヵ国の数字は17%だ。8500万人以上の人達になる。
組合が特に問題としているのは、図‐2の通り、働く人たちが貧困のリスクに曝される比率が上昇していることだ。その理由は幾つかある。最低賃金の凍結・引き下げ、公務員給与の凍結・引き下げなど、賃金下落の圧力につながる政策がギリシャ、ベルギー、ポルトガルなど多くの国で実施されたことが影響している。
もっと大きなリスクは、世界の多くの国と地域で貧富の格差が拡大していることだ。税、社会保障による所得の調整が行われた後に、上位10%の人の所得が国民の所得の何パーセントに相当するか示したのが図‐3のグラフだ。社会保障が行き届いている北欧デンマークでも、この30年間で上位10%の所得の比率は上昇している。富めるものはより豊かになっている。フォーブスの世界の資産家上位85人が保有する総資産額は、世界の人口の所得が低い半分、35億人が持つ総資産と同じ額と言われている。
クレディスイス銀行の資料によると、世界の成人人口の0.7%に相当する3200万人が世界の富の41%、98.7兆ドルを保有している。8.4%、3億9300万人が83.3%、200.5兆ドルを保有している。ダボス会議で知られる世界経済フォーラムが13年11月に発表したOutlook on the Global Agenda 2014(http://www3.weforum.org/docs/WEF_GAC_GlobalAgendaOutlook_2014.pdf)では、世界にとり重要な10の項目が取り上げられている。所得格差拡大は2位、失業は3位だが、気候変動は5位だ。