2025年12月5日(金)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2025年6月26日

 また、魚の養殖は水や空気で成長するわけではありません。養殖に必要なエサ(魚粉・魚油などから作られるペレット)が必要になります。世界中で養殖は増えており、そのために使用されるエサの価格は中長期的に上昇しています。

 世界ではエサのコストを下げようと魚粉・魚油の比率を下げて大豆などの食物由来の原料を混ぜてエサを生産していく傾向があります。しかしながら、それではもともと食べていないものを魚に与えていくことになるので魚にとってよいのか? と思います。

 また、国際的には使用するエサのトレーサビリティ(追跡)が求められています。このエサの供給についても養殖物の生産量が増えるに伴い、さらに大きな課題になっていきます。

魚が獲れなくなった分は陸上養殖で補えるか?

 サバなどの大衆魚の価格が、漁獲量の減少により大きく上昇しています。そこでよく出てくる考え方が「養殖で解決きるのではないか?」です。サバについては、全国各地で陸上養殖が進んでいます。

 ところが「数量」と「価格」面で一般的な考えと大きなギャップがあります。例えば養殖サバで、生産者が求める販売価格はキロ2000~3000円といった価格です。この価格で仕入れることができるのは、お寿司向けなどの「生食」向けです。

 サバの消費で圧倒的に多いのは、塩サバや缶詰向けなどです。これらに使われているサバの原料価格は、その10分の1程度です。もちろん、生産規模が大きくなるにつれキロ当たりのコストは下がります。しかしながら、そのためにはさらに大掛かりな設備投資が必要になり限界があります。


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