2025年12月5日(金)

#財政危機と闘います

2025年7月7日

生まれる前から重い負担を追う

 現在の受益・負担構造とマクロ経済動向を前提とする基本ケースによる推計結果は表1の通りである。試算結果によれば、生涯純負担を生涯所得で割った現在世代の生涯純税負担率を見ると、0歳世代で28.7%と最も高く、50歳世代の4.3%まで緩やかに低下する。55歳世代から60世代までは再び上昇するものの、それより年齢が高くなるにつれて低下する。75歳世代より高齢の世代は受益超過となっており、90歳世代では12.8%の受益超過となっている。

 総じて見れば、生涯純負担率は、少子高齢化の進行により、若い世代ほど少ない人数で人数の多い高齢世代の給付を賄う必要があるため、年齢が若くなるほど生涯純負担率が大きくなることが分かる。これは、現在の日本の財政・社会保障制度においては、負担が勤労期に集中し、引退期に受益が集中する構造となっていることに原因がある。

 さらに、23年時点では未出生の将来世代の生涯純負担率は58.2%と、生涯を通じて稼得する所得のほぼ6割に相当する純負担を生まれる前から背負わされており、現在世代のどの世代よりも重い負担を負う運命にあることが分かる。将来世代への負担の先送りはもはや限界といえるだろう。


新着記事

»もっと見る