2025年12月6日(土)

商いのレッスン

2025年7月21日

<今月のお悩み>
事業の先行きが見通せず、社員の間に不満が広がっています。
意思統一を図るために、何から着手すべきですか?

 不透明な事業環境の中で、社員の間に不安や不満が広がるのは当然のことである。特に変化の激しい現代においては、「将来が不安だ」という声が多くの職場に満ちている。そうした状況下で、経営者がまず取り組むべきことは、戦術の見直しや数字の改善ではなく、企業理念を改めて掲げ直すことではないだろうか。

(kazuma seki/gettyimages)

 理念は企業にとっての「北極星」である。日々の業務や市場の波に追われる中で、目の前の課題にばかり気を取られ、組織全体の方向性を見失いがちだ。そんなときこそ、「何のためにこの事業を行っているのか」という原点に立ち返る必要がある。

 その重要性を示しているのが、東京都品川区に本社を置く老舗パッケージメーカーの吉村である。同社は1932年の創業以来、日本茶を中心とする食品用パッケージを90年以上にわたり提供し続けてきた。企業理念は、「想いを包み、未来を創造するパートナーを目指します」というものだ。この言葉には、モノづくりを超えて顧客や社会の想いを受け止め、それを未来へとつなげる深い意味が込められている。

 この理念は、環境が厳しさを増す中でこそ、社員の働く意味を照らす灯火となる。日本茶市場の縮小や流通構造の変化、原材料費の高騰など、業界全体が難局に直面する中、同社にも「このままで大丈夫か」「会社はどこへ向かうのか」といった社員の声が多く寄せられていた。


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