2025年12月5日(金)

脱「ゼロリスク信仰」へのススメ

2025年7月16日

立憲民主党、国民民主党、日本維新の会の不可解な学校給食論争

 一部の政党が積極的に不安を煽る一方で、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会などは、科学的な議論を避け、代わりに学校給食の無償化という問題に焦点を当てている。これは、真の政策的リーダーシップを発揮する重要な機会を逸している。

 学校給食の無償化は主に経済政策であるが、国民民主党は「国産化」を給食政策の一環として推進している。「地産地消」や「国産化」といったスローガンは、地域経済への貢献や食料自給率の向上といった正当な政策目標を掲げる一方で、しばしば科学的根拠を欠いたまま「地元産・国産=安全」という情緒的な安心感に訴えかける。これは、産地に関わらず全ての食品が同じ科学的基準で安全性を評価されているという事実を覆い隠し、消費者の誤解を助長する危険性をはらんでいる。

 食の安全に関する政治状況は、「積極的な偽情報」(れいわ新選組、参政党など)と「戦略的な沈黙」(立憲民主党、国民民主党など)の間で二極化している。どちらのアプローチも公共の利益に資するものではない。

 これにより、責任ある科学的証拠に基づいた政策が存在しうるはずの領域に空白が生まれる。主要な野党が食の安全に関する正しいビジョンを示せないことは、疑似科学の担い手に議論を明け渡す結果となっている。

自民党、公明党と日本維新の会:「食料安全保障」の曖昧さ

 与党である自由民主党と公明党、そして日本維新の会は、消費者の不安をめぐる議論をほとんど無視し、食料関連政策を食料安全保障、農業の生産性、経済といったマクロレベルの問題に集中させている。これは非科学的ではないものの、消費者レベルの懸念に関するコミュニケーションの空白を生み出す一因となっている。

 食品安全基本法は、リスク分析の三本柱として、リスク評価、リスク管理と並んでリスクコミュニケーションを明確に位置づけている。食品安全に対する消費者の不安は、このコミュニケーションが決定的に失敗していることの明白な証拠である。

 問題は、政府がコミュニケーションを試みていないことではなく、そのコミュニケーションが効果的でないことにある。一部の政党が消費者の不安に訴えかけて、単純で感情的に響く(しかし科学的には誤った)物語を提供したのに対し、政府が複雑でデータに基づいた報告書を提供しても、一部政党は「政府はあなたの子供の食べ物に化学物質を入れている。我々がそれを止める」という単純なメッセージを打ち出してしまう。専門知識を持たない消費者にとって、一部政党のメッセージははるかに説得力があり、処理しやすい。


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