日常に戻った増沢は、原田平蔵の次女の殺人事件というスキャンダルがほとんどメディアに報じられないばかりか、台湾に渡った原田保が自殺したことを知る。
さらに奇妙な依頼が飛び込む。流行作家の上井戸譲治(古田新太)の妻である亜以子(小雪)からのものである。失踪した夫を探して出して欲しいというのである。増沢はアルコール依存症の治療を闇医者から受けていた上井戸を見つけ出す。
終幕に向かってテンポを速めていく
5回連続シリーズのドラマは第3回「妹の愛人」(5月3日)に至って、終幕に向かってドラマの展開のテンポを速めていくようである。原作の終盤が二転三転しながら、殺人事件の真実に迫るように。
増沢がギムレットを飲んでいるバーの止まり木の隣に、黒いドレスの女がすわる。大富豪の原田家の長女で医師に嫁いでいる、高村世志乃(冨永愛)である。
世志乃 「いい店ね、よく来るの?」
増沢 「よく来ると知っているからあなたがここにいる」
世志乃 「どうして(原田保に)肩入れするのかしら?」
増沢 「誠実な男だった。私より普通の人間だった。そういう人間に不誠実ではいられない」
作家上井戸家の豪邸に、舞台は移る。増沢は上井戸に電話で呼び出される。文学賞を受賞したパーティーの準備が静かに進められている。
上井戸は増沢に謎のような言葉を投げかける。
「この事件を書く。書ければ俺は死んでもいいと思っている」
上井戸が妻の亜以子に読ませたくない草稿があるので、増沢に書斎から取ってくるように頼む。
(1発の銃声が響く)
増沢が駆けつけると、上井戸と亜以子が銃を奪い合っている。