2025年12月6日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年7月21日

日本としてのコミットを

 6月2~4日、チベットに関する第9回世界議員会議が、チベット亡命政府と日本チベット国会議員連盟の共催により、初めて東京で開催された(過去8回は欧米諸国で開催)。29カ国130人の国会議員や研究者などが参加し、「東京宣言」を公表した。この時期における日本開催は画期的である。

 同宣言の主なポイントは、(1)チベットは中国の侵略以前は独立国であった、(2)中国による弾圧と人権侵害に対し、チベット人の権利と自由のための戦いを支持、(3)中国に対し、ダライ・ラマや民主的に選ばれたチベットの指導者たちとの実質的対話を促す、(4)チベット人のアイデンティティを破壊する「同化政策」を非難する、(5)自由世界にいるチベット人に対する中国による国境を越えた弾圧がおこっている、(6)自由の回復、独自の宗教・文化を守るために戦っているチベット人への支持を各国政府にお願いする、などである。

 山谷えり子・日本チベット議連会長は、「中国政府はチベットが昔から中国の一部だったと歴史を書き換えようとしている。チベット人はチベット人として生きる自己決定権がある。チベット問題は中国の内政問題ではなく国際問題である」などと語ったと報じられている。同感である。

 ダライ・ラマ14世は、これまで日本にも数度来日し、国会議員を含む支援者の歓迎を受けているが、日本の国会、政府、仏教界などはチベットで起こっていることに引き続き目を向け、批判の声を上げ続けるべきである。中国が尖閣、沖縄への様々な働きかけを強化している中で、チベットや新疆ウイグル、香港で起こっていることは、他人事ではない。

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