着実に減る映画の撮影と雇用数
23年11月にストライキが解除され、その後は賃金が倍額ほどに増え、「職場に戻れた人々」は一定の恩恵が得られているのだろう。だが組合に所属しないフリーランサーはただ半年職にあぶれただけ。それ以上にこの問題がハリウッドを苦しめることになったのは、それ以降、雇用が9万人から増えていないのである。
映画撮影が行われている数も22→23→24年と「減り続けている」状況だ。ハリウッド以外のアメリカ全土では40万人強の映画関係人口が維持されているので、映像関係者の雇用総量は戻っていることを前提とすると、「ハリウッドが映画の中心地」ではなくなりはじめている、という結論になる。
ハリウッドメジャーは「量より質だ」とコンテンツ投資を絞り始めた。ウォールストリートら金融業界からの投資対効果に対するプレッシャーも大きくなっている。
ストライキによって条件が上がった俳優・脚本家を使いたがらない傾向も強い。1980年代から約40年にわたって成長し続けてきたハリウッド栄華の時代が、いま初めて暗い帳の最中にあるのだ。

