2025年12月5日(金)

Wedge REPORT

2025年7月18日

“大活況”の日本においても不安要素

 米国映画市場は21世紀の映像の世界をけん引してきた。北米の興行収入は2000年の80億ドルから2019年120億ドルまで右肩上がり、映画本数も年350本から900本まで数えるほどになった。

 こうした「ハリウッドの時代」は20年に突如崩れ去り、そしてそれが回復に向かうと思いきや、前述のように全盛期の3分の2ほどで止まっており、23→24→25年とむしろ「緩やかな減少傾向」を見せている。

 相対的にいえば、中国の映画興収の方がゼロコロナ施策などでジグザグはあったものの、確実に上り調子である。25年は現状のままでいけば、米国興収を中国興収が超えて、世界一の映画市場になる可能性が高い(20、21年も実質米国市場を超えてはいたが、あまりに状況がイレギュラーすぎるためカウントしづらい)。

 日本はというと、米中のこの激動に比べると驚くほど安定し、驚くほど変わらない。15億ドル水準を四半世紀維持してきたし、今後もそう変わるものではないだろう。

 日本のコンテンツが大活況時代に入っている。ここ数年での日本アニメの北米を中心とした大流行は、まさにこの「ハリウッド絶不調」のスキを突いた市場の追い風でもある。

 米国Z世代(1990年代後半から2010年代前半に生まれ)はNFLのスーパーボウルを見るよりも『推しの子』や『呪術廻戦』を優先するようになっている。これは日本コンテンツにとってチャンスではあるが、米国、中国という巨大コンテンツ市場に依存した成長を企図する日本のやり方は、中長期で見ると不安も隣り合わせとなる。

 ただ確実に言えることは、いま日本のアニメを視聴する世界中の子供たちは今後も長きにわたって日本コンテンツのファンになりえる。今はひたすらに「攻め」あるのみなのだ。

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