昆布は利尻の他にも、羅臼や日高などがあります。それぞれ特徴がありますが、利尻昆布はにごりのない上品な出汁がとれるため、料亭などで好まれます。長年、京都の高級料亭と取引してきた奥井海生堂も看板商品として利尻昆布を扱っているのです。
進む「国際化」
奥井さんは今、世界に昆布を広める活動に注力しています。
「2006年に、パリで『日本の食文化セミナー』の講師をしたことがきっかけです。フランスの人にとって、昆布は肥料などのイメージで、人が食べるものという認識がありませんでした。また、世界一の料理学校として知られるニューヨークの『CIA』でも講義して、今ではこの学校で使われる昆布はすべて私たちのものです。
昆布が育つ場所に住む人間は十数億人に上りますが、歴史的に昆布を常食してきたのは日本人だけです。先日、ロンドンの自然史博物館が、1カ月かけて昆布について取材してくれました。
将来的に食料不足が懸念される中で、昆布という食べ物に注目し、来年、博物館で映像として流すそうです。ニューヨークのレストランで昆布を使ってくれる所も増えていますし、今、注目が高まっていると感じます。
母乳にはうま味があります。人間は生まれながらにして誰しも、うま味に接し、記憶に刷り込まれている。だから昆布も世界の人々に受け入れられるのだと思います」
奥井海生堂が「FSSC22000」という食品安全マネジメントの国際規格を取得したことで、さらなる昆布の国際化が進みそうです。
