有罪判決でも必ず刑務所に収監されるワケではない
有罪となったとしても、執行猶予付きの判決が出される場合があります。
読者のみなさんにも、「執行猶予」という言葉を聞いたことがある人が多いと思います。たとえば、「拘禁刑1年、執行猶予3年」という具合に。
これは、有罪であっても一定期間にわたり刑罰の執行を猶予され、その期間中に他の罪を犯さなければ、刑罰そのものが免除されるというものです。
たとえば、「令和6年版 犯罪白書」によると、令和5(2023)年度の死刑または拘禁刑(懲役・禁錮)に処せられた者(41,943名)のうち、その約67%に対して、刑の全部または一部が執行猶予となっています。
執行猶予となれば、刑務所に収監されずに家に帰ることができますし、社会人として働くことも、学生として学校へ通うことも可能です。
比較的軽い罪を犯したり、自分の犯した罪を深く反省したりしている人を対象として、刑務所にいるよりも、社会生活を送る中で更生させたほうがよいという考え方のもとにある制度です。
ただし、執行猶予が付いていても、刑の執行が猶予されるだけで、あくまで有罪判決ですので、前科記録には残ります。
また、執行猶予期間中に再び罪を犯せば、執行猶予は取り消されて、新たに犯した罪の刑期と合わせた期間、服役することになります。
