2025年6月1日より「懲役」と「禁錮」が廃止され、2025年6月1日より「拘禁刑」という新たな刑罰へ一本化されました。従来の「懲らしめ」重視の処遇から、受刑者の「立ち直り」を重視した指導へと転換を図るものです。
法は、自然科学のような不変の法則とは異なり、時代に応じて「解釈」を変え、あるいは新たに「立法」することで常に変化し続けています。
本記事では、法に関する身近な疑問をやさしく解説した入門書『はじめまして、法学 第3版』(中央大学法学部教授/遠藤研一郎・著)から一部を抜粋してお届け。今回のテーマは、少し変わった所有権――知的財産権についてです。
法は、自然科学のような不変の法則とは異なり、時代に応じて「解釈」を変え、あるいは新たに「立法」することで常に変化し続けています。
本記事では、法に関する身近な疑問をやさしく解説した入門書『はじめまして、法学 第3版』(中央大学法学部教授/遠藤研一郎・著)から一部を抜粋してお届け。今回のテーマは、少し変わった所有権――知的財産権についてです。
かつて「黒革の手帖*1」というテレビドラマがありました。原作は、松本清張の長編小説です。地味なOL・原口元子が、巨額の金銭を横領して、クラブのママに転身。銀座でのし上がっていきます。その時に、元子が武器にするのが、「手帖」です。ただし、手帖自体は、それほど価値があるものではありません(まぁ、革製品なので、そこそこするとは思いますが…笑)。
むしろ価値があるのは、その手帖の中に書かれている情報。1冊目の手帖には、架空名義の口座の情報。2冊目の手帖には、脱税の情報。元子はその情報で、地位や名誉のある相手を強請り、次々と多額の財産を手に入れていきます。そして3冊目に──。
情報というのは、厳密な意味で、「物」ではありませんので、所有権の対象にはなりません(物とは、固体・液体・気体を問いませんが、空間の一部を占めて独占可能な「有体物」を意味します。民法85条*2)。しかし、時として、誰もが手に入れたくなるようなとても価値の高い情報もあります。
もちろん、この物語のように、情報を恐喝の道具にしてはいけませんが、一方で、社会的に有益な情報もたくさんあります。
*1 巨額の金を横領して銀座のクラブのママに転身した女性銀行員を描くサスペンス。原作は松本清張の『黒革の手帖』(新潮社)。
*2 【民法85条】この法律において「物」とは、有体物をいう。
