2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年8月7日

 では、豪州はどうすべきか。第一に、防衛当局者が積極的な態度でコルビーと話し合うべきである。米国といえども、正確な四囲の状況を知らずして将来の緊急事態に絶対的なコミットメントは容易に成し得ないが、豪州も同様であることを強調すべきである。

 第二に、政府は米国、豪州、ニュージーランドの同盟ANZUS(アンザス)条約のすべての側面に対する強固なコミットメントを再確認し、豪州はインド・太平洋における米国およびその他同盟国の軍の計画立案、作戦、その他の活動を引き続き支持することを再確認すべきである。

 第三に、米国と豪州がインド・太平洋における危機に備えることができるよう、政府は共同作戦と緊急事態対応策を用意するため豪州の人員を供出して米国と作業せしめることを言明すべきである。豪州はこの作業に価値ある革新的な貢献をすべく務めると言明すべきである。

 第四に、双方とも承知のことであるが、豪州軍の将来の危機への軍事的関与はその時の豪州政府によって決定されることを政府は強調せねばならない。

 最近の Lowy Institute の世論調査によれば、国民の80%が米国との同盟は将来の安全保障にとって重要または非常に重要と信じている。緊急事態対応策の立案における緊密な同盟国の協力は、米国および豪州双方で称賛されるであろう。

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米国が持つ不満と要求

 この論説は、7月12日付フィナンシャル・タイムズ紙が、台湾を巡る米中戦争の際に日本と豪州が如何なる役割を果たすか明確にするよう米国が両国に迫っていると報じたことに関連して書かれたものである。報道によれば、エルブリッジ・コルビー国防次官が両国の防衛当局者との会談でこの問題をしつこく提起し、或る国防総省筋は、同盟国との議論は「抑止力を均衡のとれた公平な形で強化する努力を強め加速する」ことが目的だと述べている。

 この論説は、コルビーが台湾有事の際に豪州および日本が如何なる役割を果たし得るかを知ろうとすることは至極もっともなことだとして、豪州が積極的な態度でこれに対応すべきことを主張している。


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