2025年12月5日(金)

勝負の分かれ目

2025年8月19日

 「2部制は雨にすごく弱いというのが分かった」

 報道によれば、朝日新聞社の志方浩文高校野球総合センター長は、昨年より気温の面で恵まれた半面、天候不良に悩まされた今大会の「2部制」をこう総括したという。

 「2部制」は「午前の部」を午前8時から、「夕方の部」を午後4時15分から開始し、原則的に「午前の部」は午後1時半、「夕方の部」は午後10時を過ぎて新しいイニングに入らないことになっていた。午前、夕方ともに約5時間半の間に2試合ずつを行うタイトなスケジュールとなるため、途中で雨による中断があった場合などは、翌日以降にその時点から再開する継続試合となる可能性が一気に高まった。

2部制の影響で、大会史上最も遅い時間まで試合が行われることもあった(スポーツ報知/アフロ)

 そして、第4日第4試合の綾羽(滋賀)-高知中央は、第3試合が降雨で1時間以上の中断となった影響もあり、両校の意向を確認した上で午後10時以降も新たなイニングに入り、終了は午後10時46分と大会史上最も遅くなった。

猛暑下の甲子園は「限界」

 「夏の甲子園」を巡っては、従来から過密日程の中でのトーナメント大会が、投手の肩や肘の酷使につながるなどの指摘がある一方、現実的には、球児のあこがれでもある甲子園は高校野球と簡単には切り離せない。高校生の夏休み期間に行われ、学校側は知名度向上による“学生集め”も期待する。

 野球ファンにとっても楽しみの一つで、新聞やテレビなどのマスメディアが夏の時期の「キラーコンテンツ」にもなっている。こうした中、猛暑対策も、「夏の開催」「開催地は甲子園」「地方大会を含めたトーナメント方式」という3つの軸を変えないことを前提とし、大会をスポーツ報道として大々的に報じているマスメディアからは抜本的な変革を問う声は起こりにくい。

 ただ、近年は試合中に熱中症の疑いで途中交代する選手が目立ち、観客や吹奏楽部など応援席の生徒の健康面からも、猛暑下の甲子園開催に「限界」が迫りつつあることとも向き合わないといけないのではないか。


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