日本のテーマパークの歴史を振り返ると、立ち上げ当初から順調であり続けた施設はほとんど存在しない。外部要因(リーマンショック、震災、コロナ禍など)や商品力の波によって、多くの施設が来場者数の増減や経営の紆余曲折を経験してきた。
USJは大型アトラクション投資を続けてV字回復し、2023年には過去最高の1600万人を記録した。ハウステンボスも巨額投資後に低迷したが、経営再建とイベント強化で復調し、22年にはPAGに売却され新たな成長フェーズに入った。宮崎市の大型リゾート施設シーガイアは約2000億円超の投資で開業したが、バブル崩壊で破綻し、リップルウッドやセガサミーによる再投資を経て「高級路線成功」の事例となった。これらはテーマパーク事業の大きな固定費負担とリスクを示すと同時に、改善と投資による再生可能性を示している。
ジャングリア沖縄は、従来の日本のテーマパーク分類(過去文化・外国建築・海洋生物・物語IPなど)とは異なり、「やんばるの自然を活かした没入型テーマパーク」という独自性を持つ。「Power Vacance!!」を掲げ、スリルと贅沢、解放感を融合した体験型を志向している。日本人来場者は年間20万~30万人と推計され、団体旅行の訪日外国人が中心になると見込まれる。
今後はアトラクション追加、サービス改善、インフラ連携、ターゲットニーズ対応などの継続的改善と投資が不可欠である。特に「のんびり派」と「アクティブ派」のミスマッチをどう解消するか、訪日外国人観光客への訴求力をどう高めるかが重要になる。
必要なのは「地域が我慢し、支援すること」
ジャングリア沖縄は、沖縄の地域経済に大きな貢献が期待される大型プロジェクトであり、多様な地元および外部プレイヤーの協調によって成立している。日本のテーマパークの歴史からみても、開業初期の成功は保証されておらず、持続的成長には市場変化への対応、継続的な改善、戦略的投資が不可欠である。
沖縄観光の新たな柱となる潜在性は秘めているが、それには多様なステークホルダーの我慢・支援を通じた持続的な改善が必要である。この「我慢して支援し続けられるか」が成否を分けると言っても過言ではない。
テーマパーク自体でも資金面、サービス面、製品面で多様なステークホルダーが関与しているが、アクセスその他の観光地域経営においてはさらに多様な関与者が存在する。関与者が多くなるほどその調整は難しくなり、当初の想定通りに進まないことがあると足並みをそろえるのが難しくなる。
こうした大規模事業は3年やっても良くならないということはよくある。そうした厳しい環境の中でも発展に向けたテーマパークの拡張や新規事業を打ち出すことができなければならない。ジャングリア沖縄は沖縄の観光地域経営の枠組みの中で長期的な視野で取り組むかことも重要になってくるだろう。
