2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年9月2日

 それで、NATOに類似した「安全の保証」の構築ということになるが、これがいかなるものになるかはよくわからない。欧州諸国がウクライナに軍を派遣することをロシアが容認する、米国は軍を派遣しないが、武器供与(お金は欧州負担)や情報面で欧州側の支援をするということが考えられる形と思われるが、これでロシアの今後の侵略行動を抑止出来るかについては、大きな疑問がある。

プーチンの再侵略は不可避

 プーチンはトランプとのアラスカ会談でも戦争の「根本原因」の除去が必要としている。ウクライナ戦争を始めたのは国際法に違反したロシアであり、それがこの戦争の根本原因であるが、プーチンの頭の中ではそうなっていない。

 彼がいわゆる特別軍事作戦で追求しているのは、ウクライナの中立化(NATO加盟排除)、非武装化、非ナチ化などであり、ウクライナの属国化である。プーチンはその目標を今も言い続けている。

 プーチンにこの点を諦めさせるまたは改めさせることが重要であると考える。ウクライナが領土的な譲歩をするか否かはウクライナが決断することであるが、領土を譲歩してもプーチンの考え方が変わらない限り、ロシアによる再侵略は不可避ではないかと思われる。

 欧米その他が提供する「安全の保証」は、この戦争を終わらせるために必要な力強さを持つようにすることが必要不可欠である。

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