トランプとモディが「蜜月」に戻る可能性は急速に薄れている。その代わりに、インドはロシアや中国との関係を強化している。モディは8月6日、国家安全保障顧問をモスクワに派遣し、9月初旬には7年ぶりに中国に派遣すると発表した。
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トランプはパキスタン傾斜
この記事を初め、トランプの関税による米印関係の悪化に警鐘を鳴らす論調が増えている。モディも退かない姿勢を維持しており、米印関係の悪化が米国の対中戦略に深刻な影響を及ぼすことが懸念される。米国は速やかにインドとの貿易交渉を立て直すべきだ。
ロシアの原油購入にかかる懲罰関税 25%上乗せが8月27日から適用されることになっていることを念頭に、両国は8月25日からインドで交渉を行う予定だった。が、8月16日に米国代表団のインド訪問が中止になった。今後の関係が心配される。
上記記事では、米印関係の悪化の理由につき、第一にインドに対する農業・酪農市場の開放要求、第二に米国によるインドの対露原油輸入に対する25%の懲罰関税(それで対印関税は50%になる)、第三に印パ紛争の停戦仲介に係るトランプの役割をモディが認めようとしなかったことを挙げる。しかし、それに加えて、ここ数カ月のトランプによる急速な米・パキスタン関係の親密化があるようだ。
トランプがパキスタンのムニール陸軍参謀総長と二回会っていたことや、パキスタンに対する相互関税は19%とインドに比べ低かったこと等がモディを怒らせたようだ。米印緊張の原因は、このパキスタン要素が一番大きいように見える。
ムニールは、トランプにゴマをすり、巧みに印パ紛争停戦の花をトランプに持たせ、ノーベル平和賞にも推薦し、トランプ関係企業をレアアースやステーブル・コインの利権へ誘引したとみられている。インドが従来から印パ紛争への外部の介入を頑なに拒否してきたことは周知の事実であり、トランプ政権はそれが分からなかったのか。
