2025年12月6日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年9月3日

 トランプのパキスタン傾斜にモディは憤激し、対米信頼が一挙に崩れたことは容易に想像できる。その結果、米国等にとり掛け替えのない重要性をもつ対中戦略の一角を損なうことになった。

QUADへも影響するのか

 モディは8月15日、米国の関税措置に対抗する姿勢を改めて強調した。同時に、最近の米印関係悪化への反応か、外交の動きも目立つ。

 8月8日には訪露し、プーチンと会談した。8月末には訪中し、31日の上海協力機構首脳会議に出席する。8月29日には訪日し、日印首脳会談を行い、サプライチェーンの促進や新幹線の新型車両の導入など重要分野で連携しようとしている。

 ワシントン・ポスト紙のザカリアが、「トランプ外交の最大の失敗:関税や侮辱で対印戦略を損なった」と題する記事を書いた(8月15 日付)。その中で、トランプがパキスタンの陸軍参謀総長と内密に会ったことに触れ、トランプの家族企業(トランプの息子や娘婿が所有)がパキスタンと裏のやり取りがあったのではないかと述べている。

 もう一つ心配なのは、QUAD(日米豪印の枠組み)への影響である。今年の首脳会議はインドが主宰することが昨年9月合意されている。予定通りインドで開催することができるのかどうか。日本は、QUADの維持、強化のために主導的役割を果たしていく必要がある。その意味でも8月29日のモディ訪日は非常に重要である。

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