日本の企業はどうするか?
世界各国が「デリスキング」を意識したサプライチェーンの再構築を手掛ける中で、数年前までは想定していなかったAI革命による電力需要増が、デジタル時代の産業革命を引き起こしている。ASEANは地政学的に中立的な立場にあり、世界的政情不安のリスクを軽減したいグローバル企業にとって戦略的な拠点となろう。データセンターの分散化は地政学的リスクの低減に繋がる。
中長期的に見てASEANは人口と消費が増加基調を辿る中で脱炭素化を進めていかなければならず、「技術力」と「資金力」の獲得が課題となっている。グリーンデータセンターへの需要増に対して、日本企業の中には、すでに、ASEAN地域の企業向けデータセンターに加え、データセンターの運用支援やセキュリティ強化、建設プロジェクト向けの冷却技術や省エネ設備、ITインフラの提供などを提供する企業も見られている。今後は日本政府が主導する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」を通じた政策支援・資金調達・技術連携を確実に進めるとともに、ASEAN進出企業が製造業のサプライチェーンのグリーン化を重要課題として取り組んでいくことが期待されよう。
