2025年12月5日(金)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年9月4日

 他方、特別寄稿では、専門家の視点から日韓首脳会談の意義を詳細に分析している。チョン先任研究員は「過去vs未来」の二項対立的なアプローチを避け、両国に共通する懸案に集中したことを肯定的に評価した。

 ただし、チョン氏は今後の課題も提起している。持続可能な未来志向的関係のためには「指導者個人だけでなく国家レベルで認識の一致を拡大していくことが重要」と記した。この指摘は、金正恩氏やプーチン大統領、トランプ大統領といった個性派の指導者が国際情勢を迷走させている中で、同じく強烈な個性を持つ李在明大統領への諫言と見るべきだろう。

伝えられる様々なエピソード

 27日のヘッドラインは、25日にワシントンD.C.で行われた米韓首脳会談の内容を伝えたもの。日韓首脳会談を伝えた記事は2本だけだったが、米韓首脳会談については特別寄稿を含めて10本以上に及ぶ。

 このことからも、外遊の最大の目的が米韓にあったことがわかるだろう。国防日報が詳細に伝えた米韓首脳会談でのエピソードを紹介する。

米韓首脳会談でのさまざまな〝成果〟が伝えられている(韓国大統領室HPより)

 会談が始まる3時間前、トランプ大統領がSNSに「韓国で粛清、革命が起きているようだ」と投稿したことで、あわや会談が吹っ飛ぶ状況になった。慌てた韓国側が確認したところ、尹錫悦前大統領の捜査を行う特別検察が、米韓が共同使用する空軍基地を家宅捜索していたことが分かった。トランプ氏はこの報告を受けて、米軍基地に捜査が入ったと誤解したようだ。

 このように緊迫した状況で始まった首脳会談は、時にジョークを交えるほど和やかだったという。李大統領がトランプ大統領に米朝首脳会談を持ちかけた際、同氏が野心を見せるノーベル平和賞を念頭に「ピースメーカー」と呼びかけ、その動きをリードするという意味で自らを「ペースメーカー」と呼んだ。

 そして、李大統領はトランプ大統領の体型を考慮したオーダーメイドのゴルフクラブや「MAGA」と刻まれたお揃いのカウボーイハットなどをプレゼントした。記念署名式でトランプ大統領が李大統領の署名用ペンに関心を示すと、即座にペンをプレゼントしたという。

 一連の記事は、トランプ大統領が李大統領を「偉大な人」「スマートな人」と称賛し、李大統領が意気揚々となる様を伝えている。英語のスマートには「頭が良い」「利口だ」のほか、「ずる賢い」という意味もある。対等の立場である首脳同士の会談で、スマートと言われて意気揚々となるのは、いかがなものだろうか。

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