2025年12月5日(金)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年8月28日

 韓国は8月18日から、朝鮮半島での全面戦争を想定した米韓連合演習「2025 UFS(Ulchi Freedom Shield/乙支自由の盾)」に突入した。李在明大統領は光復節80周年にあわせて、「国民任命式」を行い開かれた政府をアピール。その一方で非常事態の閣議を開催、戦時指揮所を視察するなど国防を重視する姿勢を見せている。

注目された李在明大統領の国民任命式

 今年の光復節(8月15日)は金曜日であったため、土日休刊の国防日報は光復節における李在明大統領の動向を18日に伝えた。例年、光復節では大統領が慶祝辞を読み上げるが、その内容は日韓関係に大きな影響を与える。特に今年は解放80周年、日韓国交正常化60周年と節目の年であり、その内容に大きな注目が集まっていた。

光復節式典で演説する李大統領(韓国大統領室HPより)

 午前中に行われた光復節式典で、未来志向の日韓関係を志向する演説を終えた李大統領は、夕刻から青瓦台迎賓館で駐韓外交使節団との晩餐会を行った。そして19時半過ぎ、光復節のフィナーレを飾る「国民任命式」が光化門広場で開かれた。光化門広場とは、日本の皇居前広場にあたり、尹錫悦前大統領の弾劾に際しては、弾劾に反対する保守派が集会を連日開いていた。

 この国民任命式は李大統領が初めて取り入れたもので、法的根拠はない。韓国では大統領が就任すると、憲法第69条に基づき「宣誓」することになっている。宣誓は国会議事堂で開かれる大統領就任式で行うことが慣例となっており、李大統領も6月4日に就任式を行った。

 国民任命式には抽選で選ばれた3500人を含む約1万人が参加し、巨大なディスプレイには光州事件や朴槿恵大統領弾劾のロウソク集会の様子が映し出された。国民代表とされる80人が任命状を掲げる中で、ゲーム会社「NC AI」の女性代表と国軍大田病院長の海軍大佐が李大統領に任命状と花束を手渡した。

 非常戒厳宣布時の軍の行動を厳しく批判している李大統領だが、軍人から任命状をもらうことにジレンマはないようで、世論も反応していない。このあたりは、いかにも韓国らしいと言えるだろう。


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