米印関係は、どこかで修復に向かうかもしれないが、モディの心の中のトランプ不信はなかなか消えないだろう。8月30日の ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプがクアッド首脳会議のために秋にインドを訪問する計画は無くなったと伝えた。
習近平は、SCO首脳会議に続いて9月3日にはもう一つの重要行事を行った。それは「抗日戦争勝利80周年軍事パレード」だった。それと SCOを背中合わせでやるところは巧みだ。20数カ国の首脳が出席した。
モディは、日本を傷つける意図はないとして、軍事パレードには出席せず、帰国した。SCOには国内情勢不安で欠席したインドネシアのプラボウォは、中国の強い要請で急遽出席した。
ここでも一枚の写真が強い印象を残した。肩を寄せて立つ習近平、プーチン、金正恩だ。あたかも習近平が主導する三国同盟のような強い結束を誇示した。
裏目に出るトランプ外交
トランプは、西側の大きな強みであるはずの同盟国を恫喝、攻撃し、同盟国の対米不信を強めている。むしろ習近平等の独裁者側に宥和し、独裁的手法により国際秩序や国内の民主制度を損なっている。
中東、ウクライナ、対中などあらゆることに強引に手を付けるが、解決はできずむしろ事態は悪化している。新たな秩序は見えず、混乱ばかりが増えている。戦略もなく、中国に対し勇ましく声を上げるも、反対にレアアースの輸出規制で脅かされる始末だ。他方、グローバルサウスは、米中間で、益々中国との連携を強める。
なぜ、こうなったのか。一つは、中国の台頭があり、必要な世界のシステムの秩序ある適応が遅れていることだろう。もう一つの要因は、トランプの登場だ。トランプ現象を止める力を持つのは、唯一米国民だろう。

