2025年12月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年10月2日

 8月、米国はインドがロシア産原油を買い続けていることを理由に同国に50%の関税を課した。モディは今回7年ぶりに訪中し、上海協力機構(SCO)首脳会議に出席した。習近平・プーンとの集合画像は瞬く間に世界に流れた。

 習近平は「グローバル・ガバナンス構想」を発表し、西側主導の国際機関に対抗する中国中心の枠組みを作ろうとしている。今般の天安門広場で示された軍事力は極めて具体的だった。空母沈没のために設計された極超音速ミサイル等兵器の多くは、台湾戦争で米国を負かすために設計された。

 劇作家チェーホフの格言は、「第1幕で壁にピストルを掛けたのであれば、第2幕ではそれを撃つべきだ」と言う。アジアの多くや米国の一部は、習近平はピストルを壁に掛けたと結論づける。

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習近平を動かせたトランプの行動

 ラックマンは、今回のSCO、軍事パレードについて、「習近平は『グローバル・ガバナンス構想』を発表し、西側主導の国際機関に対抗する中国中心の枠組みを作ろうとしている」、「今般の天安門広場で示された軍事力は極めて具体的だった」と強い警戒感を示す。

 今回のSCO会議と軍事パレードで見せた習近平の意図と力、プーチン、金正恩らとの結束、さらに別の理由からSCO首脳会議に出席したモディの動きを警戒するラックマンの見方は的確だ。今回の習近平の言動は力と意図の双方が拡大していることを示している。十分注意していくべきだ。

 他方、中国主導の結束は、関税や同盟政策などトランプの自失によるところも大きい。ラックマンは、トランプにつき「最も不可解かつ逆効果な行動は、インドへの敵対的な姿勢である」、「トランプは、主として些細で自己の自尊心に関わる理由から、インドとの関係を台無しにした」と批判する。全くその通りだろう。

 その関連で、二つのことが気になる。第一は、ラックマンの記事にも、モディ首相の訪日に言及がないことだ。

 モディ訪日には、米印関係が緊張する中で重要な意味があった。日本の発信は十分か、迅速な発信等改善すべきではないだろうか。


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