2025年12月6日(土)

モノ語り。

2025年10月5日

販売数分で完売

 「ステンレス一体型の美しいフォルムと切れ味の良さから半数以上の審査員の方が、私たちのステーキナイフを持ち帰ってしまったのです。この評判によって、龍泉刃物が世界の人々に知られるようになりました」

 一般向けにもステーキナイフの販売を開始しましたが、1件のクレームが入りました。

 「カトラリーなのに鏡面になっていないという指摘でした。包丁ではそこまで磨くことはしないので、私たちもその技術を持っていませんでした。そのため、眼鏡の産地である鯖江でチタン加工をする会社や洋食器の生産で知られる新潟の燕三条の会社に教えを請いに行きました」

龍泉刃物 梵天雲龍 改 八角柄 ペティ

 このようにして生まれたステーキナイフですが、現在、約3カ月に一度、完成した分だけ公式オンラインショップで販売し、数分で完売してしまう状況です。磨くことが非常に大変で、技術を持った職人さんも1人だけなので、生産に時間がかかるのです。

 「ステーキナイフばかりつくっていると思われがちですが、大半は包丁をつくっています。一般の方から国内外の料理人からもご支持頂いています」

 16年からは海外進出も果たし、現在15カ国・地域25店舗で販売しています。取引条件は、刃物のメンテナンスができることと、直営店があることで、中には直接、龍泉刃物に研修に来る人もいるそうです。ちなみに、最も売れている国はカナダだそうです。

龍泉刃物ファクトリー&ストア
福井県越前市池ノ上町92-5-6 0778-43-6020
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Wedge 2025年10月号より
コメと日本人
コメと日本人

「令和の米騒動」─。米価高騰、コメ不足の原因は複数あるが、ここまで騒ぎが大きくなった背景には、稲作に対する、長年の国民の無関心もあるのではないか。稲作の未来を経済的に考えれば、スマート化、大規模化一択なのだろう。しかし、それによって地域の担い手や環境保全は誰が行ってゆくのかの議論は乏しい。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、米価が下がれば関心をなくすのではなく、日本の稲作の未来をどうするのか、時間をかけて考え、耕していく必要がある。


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