世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月11日

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 プーチンは、ロシアの行動を段階的に縮小することを選ぶことによって、「脅威にならないウクライナ」が保証されるということを分かっている。アメリカの政府高官は、中立で、NATOには非加盟のウクライナを造るために米ロが恊働することを望んでいる。

 プーチンがこのように分かりにくく見えるのは、合理的な計算をする兆候が見えているにもかかわらず、最終的にはロシアにダメージとなる対立の炎を燃やし続けようともしているためである。彼はナショナリズムを掲げて国内での高い支持率を有しているが、ロシアの株式指数が急落していることは、潜在的なリスクを現している、と述べています。

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 イグネイシャスは、CIAやホワイトハウスに出入り自由のジャーナリストですから、この論説の中の観察も、CIAやホワイトハウスの中で議論されていることをそのまま反映していると考えて良いと思います。

 今回の一連の事件が、プーチンの長期的展望と戦略に基づいて進展しているのではなく、プーチン自身事態が予想外の早さで進展しているのに振り回されている、という観察はその通りと思います。

 その原動力は、ソ連邦解体の怨恨と、強く大きいロシアへの回帰に対するロシア系住民の願望の強さです。クリミアの復帰が予想以上のスピードで行われたのも、東ウクライナの騒擾がここまで急速に発展したのもその故でしょう。そして、プーチンとしては、このロシア人の民意には、当然ある程度応じざるを得ない立場にあると考えられます。それならば、プーチンの態度が事態の変化に応じて、揺れているのも無理のないことです。

 となると、今後の見通しは、プーチン自身どうにもできないロシアの民意の動向が相当な影響力を持つと考えざるを得ず、それが見通しを不透明にしています。

 一つ面白いのは、米政府が内心考えている解決策が言及されていることです。それによれば、米政府は、ウクライナの総選挙後は、NATOに加盟しない、中立の、冷戦中のフィンランドのようなステータスを与える解決に合意することを考えているようです。

 本件の経緯から考えて、クリミアはもう帰って来ないと考えると、それは米側の譲り過ぎの感は否定できませんが、今後東ウクライナ情勢が更にロシアに有利に傾いた場合に、東ウクライナをウクライナに返す代償に、ウクライナのフィンランド化するという取引が成立する可能性はあるのでしょう。

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