2025年12月5日(金)

「永田町政治」を考える

2025年10月23日

政治資金規正に厳しいはずだった維新

 高市内閣が発足前に公明党の連立離脱という不測の事態で躓いたのは不運だったとしても、自維連立内閣の過程に、割り切れなさ、あえていえば不明朗さを払拭できない国民も少なくないだろう。

 従来、維新幹部は「自民党と連立を組んだ政党は数年以内に消滅した」(藤田文武幹事長)などと警戒、否定的な発言を繰り返していたにもかかわらず、公明党が連立離脱した後、態度を一転させた。立憲民主党、国民民主党との3党協議に出席しながら、高市総裁からの協力呼びかけがあるや、一気に連立参加に傾いた。

 当初は最重要と位置付けていた企業・団体献金問題で「全面禁止」を譲らない構えを見せていながら、協議の途急遽、議員定数削減に方針を変更。献金規制は「高市総裁の任期中に結論を出す」という不明確な形で決着させ、定数削減を呑ませて自民党と最終合意した。

 今回の政局混乱をもたらした公明党の連立離脱は、企業・団体献金の規制強化に対する自民党の対応が不十分というのが理由だった。企業・団体献金の存続を認めて規制するという方針の公明党が自民の対応を指弾し、公明党よりきびしい条件を掲げてきた維新が妥協するというのは理解不能、信念を曲げたと言われてもやむをえまい。

選挙に連敗する中での政権入り

 維新は7月の参院選で1議席増ながら、比例代表の得票数、率は、2022年に比べて、それぞれ大幅に減少し、実質的な大敗北だった。1年前の総選挙でも6議席減、比例の得票数、率とももそれぞれ減少しているから、自民党同様、連敗だ。

 与党に身を置いていて、敗北後もとどまるというケースはこれまでの自公同様、みられるケースだが、選挙に負けたにもかかわらず、あらたに政権入りするのは「憲政の常道」に反する。民意を無視した数合わせと言うべきだろう。

 国民民主党の玉木雄一郎代表が「自民党と連携するなら早くいってほしかった」と反発したのは当然だった。立憲民主党からは「自民党にだまされているのではないか」(野田佳彦代表)とその性急さを指摘された。

何が何でも首相になりたい

 最もきびしく指弾されるべきは、いうまでもなく、ほかならぬ高市自民党だ。

 新総裁選出の翌日、公明党との連立協議前に、高市氏が密かに国民民主党の玉木代表と会談、不調とみるや今度は維新に接近。維新が急遽突き付けた議員定数削減の条件を他党に諮ることなく丸のみにし、「臨時国会で成立を図る」と安請け合い、あげくは小会派にも触手を伸ばし、参院ではNHK党出身議員と統一会派を組んだ。

 何が何でも首相になりたい一心、なりふりかまわぬ多数派工作は、初の女性首相という清新、鮮烈な印象とは程遠い。


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