2025年12月5日(金)

「永田町政治」を考える

2025年10月23日

 国民の目にはどう映るか。厳しい調査結果もある。

 紀尾井戦略研究所の調査によると、自民と維新の連立政権について「よい」「どちらかといえばよい」が計37.6%だったのに対し、「よいとは思わない」「どちらかといえばよいとは思わない」が計49.3%にのぼった(10月16日)。

 高市新内閣に対して、時事通信が内閣発足前に行った調査では、支持43.8%、不支持23.0、「わからない」が33.3%だった。選挙ドットコムなどの調査では支持50.2%、不支持30.4%。

 一定の支持はあるものの、小泉純一郎内閣発足時の85%、民主党の鳩山由紀夫内閣77%、第一次安倍晋三内閣の67%には及ばず、初の女性首相として圧倒的な人気を得るには至っていない。

政権奪取逃した野党の責任 

 自民党を警戒、維新を批判する野党各党も、無理な形の連立政権登場を許したことでは、責任の一端を追わなければならないだろう。

 国民民主党の玉木代表は、総裁選翌日に続いて、10月15日に高市総裁と会談。年収の壁引き上げの努力、ガソリン暫定税率廃止であらためて確約をとったにもかかわらず、公明党が離脱した以上、国民が自民と連立を組んでも意味がないなどと連立参加に難色を示した。

 玉木氏を首相候補とする方針を打ち出した立憲民主党との協議では、「首相になる覚悟はできている」と大見えを切りながらも、安全保障、エネルギー政策などでの提案をこととごとく退け、政権交代の希望を打ち砕いた。

 立憲民主党の野田代表は、総裁選期間中、「昨年の敗者復活戦だ」などと毒づくだけで傍観、首相指名に向けて野党勢力の結集には消極的だった。公明党の連立離脱という情勢変化を受けて急遽、各党への働きかけを始めたものの、反応は冷ややかだった。当然だろう。

 各党の足並みをそろえるのは無理とみていたのだろうが、石破茂前首相の退陣表明をうけてすかさず各党に真摯に呼びかけていたら、結果は異なったかもしれない。突然、首相候補に擬せられた国民の玉木氏も迷惑だったろう。

「国民の信を問う」選択肢を

 ともあれ、高市新内閣は船出した。

 就任早々、日米首脳会談が予定され、補正予算の編成も急がれる。「働いて、働いて」と宣言した首相の健闘を期待するしかないが、あわせて首相はこの際、早期の衆院解散・総選挙で自らの内閣に対する信を、直接国民に問うてみるべきだろう。

 自民党、維新が勝利すれば、正当性への疑問を払拭でき、連立政権は安定するだろうし、自民党が過半数を回復すれば単独政権も復活する。敗北すれば連立組み直しの事態となるが、どんな結果になるにせよ、国民の意志が反映されるだろう。

 奇策ではあるが、公明党が去った時点で、石破首相(当時)の下で解散・総選挙を行い、その結果をもとに連立協議を進めた方が、よほどわかりやすかった。国家国民を想うなら、高市首相は蛮勇を発揮してほしい。

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