2025年12月5日(金)

都市vs地方 

2025年10月24日

連立によるメリットとデメリット

 公明党にとって連立はメリットもあればデメリットもあった。国土交通大臣のポストをメリットに上げる人が多いが、それにどれだけメリットがあったか具体的なエビデンスは乏しい。

 連立与党であることにより、行政からも企業からもそして国民一般からも公明党に対する安心感があったことは確かだ。しかし近年のように自民・公明で過半数を維持できない状況になるとそのメリットも薄れてきていた。

 自民党にとっては公明党との連立はメリットが多かったと考えられる。国会において両党で過半数を占めることができたほか、小選挙区において公明党の票を得た結果当選できる議席が相当あったということを挙げる人が多いが、これとは違うものもあったと考えられる。

 もともと公明党は平和と福祉そしてカネにクリーンな政治を政策の中心に据えてきた。自民党がそうでない方向に傾きかけると公明党がブレーキをかけ、自民党内の平和・福祉に関心の強い人たちと呼応して自民党のウィングを広げてきた側面もある。

 連立によるその種のバランスが崩れた自民党が今後、国政において過半数を回復し維持し続けるとは考えられない。今後自民党が保守派の少数政党に流れた支持を取り返したとしても、公明党との連立による平和・福祉バネのようなものを失ったマイナスも大きいと考えられる。

 連立を組んだ約26年間を通じて、自民党の政策が一方に偏らないで広く国民の支持を受けていたという公明党が果たした役割を考えると、日本維新の会や安全保障政策が近い政党と組んだ自民党が単独で過半数を握るとはとうてい考えられない。

平和の党を強調する選択肢

 今回破綻した自民、公明の連立協議で懸念事項として公明党が示した条件は政治とカネ、靖国神社参拝と歴史認識、過度の外国人排斥の3点が中心だった。連立解消の引き金となった政治とカネの問題よりも、むしろ靖国神社参拝と歴史認識、過度の外国人排斥を連立協議で公明党が持ち出したのは新鮮に感じられた。最近の政治や選挙では平和や外国人共生の主張がかき消されがちだったからである。

 近年の選挙では保守的な政策を強く、あるいは過激に主張する少数政党が伸びたことからマスメディアの報道もそちらに傾いているように見える。しかし今年は戦後80年だったこともあり、戦争の悲惨さを語り継いでいこうとする機運も一部では高まっている。メディアも戦後80年に関係した出来事を継続的に報じてきた。


新着記事

»もっと見る