CASE 2 人事院・内閣人事局
「話し合ったテーマは、『50年後の公務員』。現在の目線から一度離れ、思考を飛ばしてみると、考えもしなかった未来像ばかりが浮かび上がってきました」
こう語ってくれたのは、人事院人材局で参事官を務める若林大督さんだ。国家公務員のなり手不足が深刻化する中、人事院は、採用試験の見直しや超過勤務の縮減など、就労環境の改善に取り組んでいる。
しかし、「私たちの仕事のやりがいや働く環境などを発信する上で、他省との連携を強化する必要がある」と感じていた。
そこで今年7月、若手職員を中心に立ち上げられたのが「府省横断チーム」だ。34府省・約130人のメンバーで構成され、公務のブランディングや発信力を高めることをその目的としている。
そしてチーム結成後の9月、2回目の会合で前出の宮本さんを招き、SFプロトタイピングの手法を学んだのだ。総務省や警察庁、宮内庁をはじめ、20の府省などから約40人が参加した。
未来の可能性の幅を
どう広げていったのか?
会合の目的は、今後の活動に向けて思考を柔軟にすること。
しかし、「それでは自由に考えてください」と突然振られても、未来思考の脳に切り替えることは容易ではない。どのようにして段階を踏んでいったのか。
「いくつかのグループに分かれて、まずは、自分たちの仕事に関わる単語を出し合いました。フードテック、人事交流……、といった具合です。
そのあとに、自分たちの趣味や関心事に関わる単語を出し合いました。カフェ巡り、海鮮……。そうして出てきた単語同士を組み合わせて、新たな造語をつくってみることから始めました」
出来上がった言葉としての響きの面白さを重視しながら、意味を掘り下げたいものを絞っていくと、「海鮮型人事交流」など、新たな仕組みを思わせるような造語が浮かび上がってきた。海鮮における「旬」というワードに着目し、旬の人材を生かすような人事交流のあり方を検討したという。
「生み出された造語は一見、荒唐無稽なものばかりでしたが、そこから、『じゃあ、それって具体的にどういう取り組みなの?』、『その取り組みが価値を持つようになった背景に、どんな社会の変化があったの?』と、不確実な未来を基準にしてバックキャストしていくと、新たな未来像の輪郭が見えてきました。
例えば人口減少や気候変動の問題など、誰もが想像しやすい未来を基準に考えられた未来像を提示された方が腑に落ちやすいでしょう。
でも現実には、『今の延長線』では考えられないことが生じ得ます。コロナ禍などはまさしくその実例ではないでしょうか。考えをめぐらせ、多角的に備えることの大切さを再確認しました」
国家公務員の〝お堅い〟イメージを柔軟な発想で覆せるか。そのゆくえに今後も注目したい。
