「私のメンター」
次に、安倍晋三元首相が自分のメンター(師)であったと伝えることが不可欠だ。トランプが安倍に好意を抱いていたのは周知のことである。
トランプは9月に、保守派の政治活動家で自分の熱狂的な支持者であったチャーリー・カーク氏を失った。トランプはカークを射殺した犯人を「極左」と呼んで厳しく非難している。トランプ自身も、2024年米大統領選挙において東部ペンシルベニア州で銃撃されたが、一命を取り留めた。
暗殺未遂事件を経験したトランプは、高市の地元奈良で、どのような人物が安倍を銃撃したのかについて語れば興味を示すだろう。ただ、注意しなければならない1点がある。
山上徹也被告の母親は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に多額の献金を行い、自己破産し、その結果、家庭崩壊を招き、山上兄弟は悲惨な生活を強いられた。そのような訳で、安倍と旧統一教会の関係を知った山上は安倍を恨むようになったと言われている。
トランプは2021年9月に、旧統一教会のイベントにビデオメッセージを寄せた。トランプの動静をチェックしていた筆者はこのとき、彼の演説を、インターネットを通じて聞いていたが、演説が終了すると、安倍が登場したのには驚いた。
米CNNによれば、トランプは、旧統一教会系の東部ニュージャージー州ベッドミンスターと南部フロリダ州パームビーチでのイベントでの講演の報酬として、200万ドル(約3億円 現時点でのレート)を受け取った。
余談だが、トランプはCNNがこのような記事を流すので、ホワイトハウスでの記者会見で同社の担当記者が質問をするために挙手をしても指名しない。会見では、他の大統領の時代には見られなかった光景がしばしば展開される。
例えば、エプスタイン事件に触れる質問は、事実上できない。米大統領専用機(エアフォースワン)での同行を拒否されるからである。記者会見では、過去にトランプに不都合な“真実”について、質そうとした記者たちは、フェイクニュースという一言を浴びせられ、無視されるようになってしまった。
また、極右の新興メディアに記者許可証(プレス・パス)と彼らの席を設けて、トランプに有利な質問をさせるように仕組まれている。有利な質問をしたあるホワイトハウス担当記者に対して、トランプが「あなたは本物のリポーターだ」と称賛したことがあった。
話を戻そう。このような事情があるので、山上の話に至るのはリスクが高い。
ポイントはMAGA
トランプは、自分が応援する下院議員を、MAGAを使って表現する。例えば、「彼はMAGA戦士だ」「彼は真のMAGAチャンピオンだ」と言う。
そもそも、トランプは家族や親族以外には信頼を置かない人物である。家族以外の人物に対する彼の「信頼」の基準は、「(真の)MAGA」か「中途半端なMAGA」か「非MAGA」かになる。
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、今年2月に行われたMAGAが集まるCPAC(米保守政治活動会議)の年次大会に参加し演説を行った。ミレイは、トランプや彼の支持者たちから真のMAGAとみられている。トランプは、アルゼンチンで10月26日に実施される中間選挙でミレイの政党が敗れれば、同国に対する支援を止める可能性があると、脅しともとれるメッセージを発信したほどだ。
