MAGAを使え――「T&T」の誕生
トランプは首都ワシントンD.C.、ロサンゼルス、南部テネシー州メンフィス、シカゴといった民主党系の都市に、州兵や移民関税捜査局(ICE)の職員を送り、不法移民の取り締まり強化に乗り出し、彼らを強制的に国外追放している。ただ、合法的な移民までも追放した例があり、世論から非難を浴びているが、トランプは「犯罪対策」を前面に出して強硬な姿勢を崩さない。
その背景には、政策の支持率で物価や雇用に加えて移民政策までも、支持率が不支持率を下回っていることにある。唯一、「支持」が「不支持」を僅かだが上回るのが犯罪対策である。
そこで、トランプはその犯罪と移民を結び付けてMAGAに訴えている。来年の中間選挙において、犯罪対策を主要な争点にしようとしているのだ。
高市は、自民党総裁選挙で奈良公園の外国人観光客による「鹿蹴り」や、通訳不足による逮捕された外国人の不起訴を取り挙げ、外国人に強硬な立場を示した。また、首相に就任すると、内閣に外国人政策の担当を設け、所信表明演説では、排他主義とは一線を画するとしたうえで、一部の外国人による違法行為やルール逸脱に対して、政府として毅然と対応すると述べ、外国人に対する規制強化を約束した。
高市は、トランプとの首脳会談で日本国内における外国人による犯罪を持ち出し、トランプの犯罪対策に共感を示せば、彼は彼女にMAGAとの共通点を見出すかもしれない。さらに、所信表明演説で強調した「強い(日本)経済の実現」を目指す決意を、「Make Japan Great Again(マジャガ:日本を再び偉大にする)」というメッセージに変えて送れば、トランプは高市に共感を抱き、日米関係における「T(トランプ)&T(高市)」が生まれるかもしれない。
米国への5500億ドル(約84兆円)の投資の実施や、防衛費増額など日米間の課題や懸案事項がある中で、高市がMAGAをうまく使えるかが、今後の両氏と日米関係を占ううえで、重要なポイントになると言える。
