2025年12月6日(土)

Wedge OPINION

2025年11月7日

 彼らは社会を支える「ライフライン」を守る最前線であり、日頃の保守業務はもちろん、大規模災害時には不眠不休で復旧にあたっている。私たちの日常は、現場の最前線で奮闘する彼らによって支えられていると言っても過言ではない。

 今後の通信の発展には彼らの力が不可欠だが、通信業界では現在、最前線で通信を支える人材不足という深刻な問題が顕在化しつつある。

多岐にわたる事業者たちで
支えられる通信インフラ

 スマホでインターネットにアクセスする時、データはクラウド上のサーバーからインターネットやコアネットワークを支える光ファイバーを通り、無線基地局に送られる。そこで電波に変換され、スマホに届く。つまり、モバイル通信は光ファイバーなどの「固定ブロードバンド」があって初めて成立する。

 モバイル通信はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルなどの「移動通信事業者」が担い、固定ブロードバンドはNTT東日本やNTT西日本などの「固定通信事業者」が担っている。

 移動通信事業者は、固定通信事業者などから固定ブロードバンドを借りるなどして、モバイルインフラを構築している。日本の隅々にまで敷設した固定ブロードバンドインフラがモバイル通信の基盤となっている。

 モバイル通信を支える設備には、基地局やアクセスリンクなどのアクセス系設備とネットワーク設備がある。一方の固定ブロードバンドを支える設備には、管路、洞道などの土木設備、光ファイバーや電柱などの線路設備、宅内設備、ネットワーク設備がある。

 これらの基本設計、実施設計、工事施工、保守・保全監視、災害対応を担うのが「通信インフラ従事者」だ。保守業務には、電柱点検や周辺の除草、鉄塔・アンテナ塗装、害虫・鳥害対策なども含まれる。

 大規模災害時には、光ファイバー断線や基地局停波への迅速な復旧対応が求められ、日頃から伝送路断対策、停電対策、エリア復旧対策などを行うとともに、行政機関などとの合同訓練も行われている。

 さらに、通信機器のソフトウェア化が進み、障害を完全に防ぐことは困難になりつつあるため、通信障害発生時の影響を最小化する設計・運用(レジリエンス)の重要性も高まっている。


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