ロシアは石油の輸出で収入を得ており、それがロシアの戦争継続能力を支えている面があるが、この制裁はロシアの戦争継続能力にかなりの影響を与えると考えられる。ロシアの石油を買っているのは主として中国とインドであるが、制裁をこの両国のロシア石油購入にもブレーキを掛けるように設計できれば、制裁の効果は更さらに大きくなるだろう。
日本はサハリン1とサハリン2の二つの極東での原油・ガス開発プロジェクトを有しているが、サハリン1からの原油輸入は中止されているが、サハリン2からの 液化天然ガス(LNG) 輸入は継続されている。これをどうするかの問題があるが、もし米国からの要請があれば、その利害得失を冷静に考慮する必要があるが、協力的姿勢で米国と協議するのが正解ではないかと考える。
ロシア国内に厭戦気分を与えられるか
ロシアにとりウクライナ戦争はうまく行っている戦争ではない。戦況は大まかに言えば、膠着状態にあると言ってよく、死傷者の数を見てもロシアは100万人以上でウクライナの死傷者数を大きく上回っている。
それでロシアは兵員不足になり、北朝鮮兵や囚人の徴兵などに頼っている状況である。また、ロシア経済は戦時景気で活況な面があるが、高金利などいくつかの弱点を抱えている。
ロシア経済に打撃を与える今回の米国政府の措置は、ロシア国民の一部に厭戦気分を与え、戦争疲れを実感させ、これがひいてはプーチンの考え方にも影響を及ぼす可能性があると考えている。
なお、ウクライナへのトマホーク供与の話は、実現できれば大きな効果があったと思われるので、それが立ち消えになったのは残念であるが、欧州のミサイルも、もし米国が標的指示などの情報面で協力すれば、似た効果を持ちうるではないかと考えられる。
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