2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年11月6日

 停戦交渉が進まずプーチンへの苛立ちを高めたトランプは、ロシアの石油大手2社を制裁対象に加えたと2025年10月22日付ニューヨーク・タイムズ が報じている。

(ロイター/ZUMA Press/アフロ)

 トランプ大統領は水曜日、第二次トランプ政権として初めて大規模な対ロ制裁を課すことを発表し、これはプーチンに対しトランプ氏が新たな苛立ちを感じ始めていることを示すもので、ブダペストで近く開かれる予定だった米ロ首脳会談も中止となった。

 新たな制裁はルッテ 北大西洋条約機構(NATO) 事務総長とホワイトハウスで会っていた時に発表された。ルッテはトランプをウクライナ側に引き留めようと必死の欧州指導者たちを代表してワシントンを訪れていた。

 制裁の対象はロシアの石油最大手 2 社、ロスネフチとルクオイルで、ベッセント財務長官は声明の中でこれら2社をクレムリンの戦争機構のエンジンと呼び、「殺戮を止めて即時停戦を行うべき時だ」と述べた。プーチンに対するトランプの苛立は明らかで、「プーチンとは毎回話は弾むがどこにも行きつかない」と言っている。

 首脳会談の中止については、「適切とは思えなかった」、「行きつくべきところに行ける気がしなかった。だからキャンセルした」、また制裁については、「今が適切な時だと思った」と言っている。

 今回の制裁はウクライナ戦争開始以来、米国がロシアのエネルギー部門に対して課す最も重大な措置だ。バイデン政権は同盟国がロシアの石油を合法的に買えるよう、ロシア石油会社に対して制裁を課すのを避けたが、これらを制裁対象にすれば、ロシアの石油収入に対してかなりの影響を与えるかもしれない。

 専門家は制裁の実行は制裁が有効かどうかを確かめるためにも重要だと言う。トランプは、「制裁は大規模なものでロシア石油最大手2社が対象だ。2社は長くは持ちこたえられないと期待している。戦争は終わると期待している」と 言っている。


新着記事

»もっと見る