上述の経緯と背景に照らせば、大仰な軍事態勢には薬物流入の阻止を超える目標があると見るべきであり、軍事態勢は当分維持されるであろう。その狙いは、この論説も指摘するように、ベネズエラだと考えられる。最終的な目標はマドゥロの追放だと内々述べる当局者もいるらしい。
トランプの次の一手は
トランプが10月15日にベネズエラにおける米中央情報局(CIA)の秘密工作を許可したことを確認したと報じられている。また、トランプは「海は万事巧く行っているので、確かに、今や我々は陸上を検討している」とも述べ、ベネズエラ内部に攻撃目標を探すようなことを言っている。
マドゥロは既に十分脅威を感じているようである。米国企業に有利な条件での取引をオファーし、あるいは副大統領に政権を譲ることすら持ち掛けたとの報道があるが、トランプは少なくとも当面交渉に応じないことにしたらしい。
トランプにとってマドゥロは目障りであり、その追放は一期目の政権でやり残した仕事である。しかし、マドゥロを追放するシナリオがどのようなものかは分からない。
当面、カリブ海の軍事態勢を維持して威圧し(B-52爆撃機がベネズエラ沿岸を飛行するなど、色々な示威行動を行っているらしい)、ベネズエラ内部の薬物関連の施設を選択的に攻撃するなど薬物対策を煙幕にして揺さぶりをかけ、マドゥロと彼の取り巻きが自発的に国外に出ることを促すということかも知れないが、トランプ政権が次に打つ手が注目されよう。

