2025年12月14日(日)

Wedge REPORT

2025年11月10日

板金技術でアウトドア用品

 調理器具を置けるストーブや、小さな焚き火台、LEDランタンから漏れ出る光と影を楽しめるクラフトシェードといったキャンプ用品が並ぶアウトドアブランド「OZOPS(オズオプス)」。ストーブは平らでない地面でも調理器具を落とさず安定して立ち、焚き火台は手で折り曲げネジで留めるだけの子どもと一緒に組み立てを楽しめ、クラフトシェードは麻の葉など繊細な模様が施されている。

 同ブランドは東京都八王子市の精密板金加工業の小沢製作所が2019年11月に立ち上げた。社名の「小沢」と「アウトドア」、「製品(products)」の頭文字をとっている。

オズオプスの商品を紹介する小沢社長

 「普及されているアウトドア用品の多くが板金製で、自分たちの技術で作れると感じた。市販の大部分が海外製なので、『国内産』として売り出すこともできると思った」。同社の小沢達史代表取締役はブランド立ち上げの理由を語る。

 同社は1966年12月に小沢代表の祖父が創業し、現在が3代目。創業時は電話交換機を製造する大手メーカーに部品を提供する1社依存だった。

 大手メーカーの本社移転や時代の流れによって、1次下請けから2次下請けに特化していった。プリクラやパチンコ、パチスロ、スマートフォンと、提供先の機器も変わっていった。現在はエレベーターの部品や医療機器、食品工場の設備を手掛けている。

機器や設備に合わせた部品の設計から手掛ける

 しかし、最近では受注が減りつつある傾向を感じている。そうした状況は周辺の製造業も同様で、「メーカーがいなくなる未来というのも考えないといけない」と危機感を募らせる。

 そこで新たに立ち上げたのがOZOPSだった。金属に細かい切れ込みを入れて模様を付けたり、薄い金属板を自分で曲げられるよう折り目を入れたりするといった精度の高い加工は得意とするものだった。

得意とする精度の高い金属加工を生かす

 商品はコロナ禍で高まるキャンプ需要を受け、少しずつ売れていった。今では、大手小売チェーンにも陳列されている。

 ところが、その影響は別のところから出た。「アウトドアメーカーから商品製造の相談や依頼が来るようになった」と小沢代表は話す。アイデアはあるものの、作ることができなかった製品への相談だ。


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