インドはそのことに感謝している。だから、ロシアのウクライナ侵略で、ロシアが孤立化した時も、インドはロシアを少し支援したいとの意向もある。
加えて、ロシアがインドにとって最大の脅威である中国と連携している姿も面白くない。インドがロシアを支援することで、インドはロシアを中国依存にしすぎないよう考えているわけである。
そう考えると、モディ政権にとって、トランプ大統領の発言を認めるのはまずい。インドの外務省は「関知していない」という形で、その有無をも含め、ごまかしておいたほうがいいと、判断したわけである。
そもそもインドは原油輸入を停止できるのか
そこで気になるのは、そもそも、インドはロシアからの原油輸入を停止することができるのだろうか、という問題である。ロシアがウクライナ侵略をする前、インドはロシアから原油をほとんど輸入していなかった。だから、その前の状態に戻ればいいのであるから、可能なようにみえるが、実際には、そう単純ではない。もしロシアからの輸入を止めた場合、代わりの供給元を見つけなければならないからだ。
インドが2024年輸入した原油の内、36%がロシア産だ。イラクからが21%、サウジアラビアからが13%、アラブ首長国連邦(UAE)からが9%、そしてアメリカから3%、その他が18%である。ロシアからが非常に多い。それだけ大量の原油の供給元を見つけるのは容易ではないはずだ。
ただ、現在の原油の状況は、インドが代わりの供給元を見つけやすい状況にある。需要に比べ供給が上回り、原油の価格が下がっているし、アメリカも積極的に輸出しているからだ。実際、インドは25年、アメリカからの原油輸入を急増しつつある。
過去にインドは、アメリカの圧力を受けて、ベネズエラ、イランからの輸入をやめた経緯がある。ロシアからの輸入はそれよりもはるかに大きいが、実施可能とみられる。
実際、トランプ政権がロシアの主要な石油会社2社に制裁を課して以降、インドの民間企業はロシアからの原油輸入を止めつつあるようだ。インド国営の石油会社は輸入を継続するようだが、明らかに量は減る傾向にある。
