ウォールストリート・ジャーナル紙コラムニストのウォルター・ラッセル・ミードが、ニューデリーを訪問して見聞したところに基づき、米国とインドの関係は悪化しているが、インドの指導者は引き続き米国と協力していくことを欲しているという論説を書いている。要旨は次の通り。
新たな駐インド大使セルジオ・ゴア(前ホワイトハウス人事局長)は大火災の嵐の中に飛び込むことになった。50%の関税を課せられ、H-IBビザに10万ドルの手数料を課せられ、インドの世論は急激にトランプに敵対的となった。
さらに悪いことに、多くのインド人はトランプ政権がパキスタンに傾斜しつつあると信じている。ムニール(陸軍参謀長)による2度のホワイトハウス訪問に、多くのインド人が唖然とし裏切られたと感じた。
しかし、モディをはじめ、インド政府、野党、ビジネス・リーダーとの会見で、自分(ミード)は一貫したメッセージを聞いた。インドの政治・ビジネスのリーダーはなお米国と協力することを欲している。
米国がインドとの関係を深めることは、それほど難しくはないであろう。貿易については、多くのインド当局者は米国との残るわずかな違いは解決できると信じている。インドの交渉者にはレッドラインがある(ニューデリーの農業ロビーはワシントンよりも強力である)が、双方の側の交渉者は、取引は手の届くところにあると言っている。
皮肉なことに、米印を最も分け隔てている二つの問題は、双方の利益が最も一致している問題である。双方とも中露の連携は安全保障上の脅威と見ており、両国を引き離したいと思っている。また米印は、中国のインド洋における軍事的・経済的・政治的な影響力の増大が脅威であることで見解を同じくしている。
