有害駆除数を見ると、驚くべき数字が並んでいる。1990年と2024年の駆除数を比べてみよう。シカは4万2000頭から73万8700頭へ、イノシシは7万200頭から63万3000頭へと急増している。クマにいたっては、90年代は保護政策がとられていたので、ヒグマ200頭、ツキノワグマ1500頭にすぎない。それが24年には826頭と4520頭。今年は10月末まででも984頭と8883頭である。
クマ両種合わせると年間で1万頭に届きそうだ。この10年間は、毎年5000頭以上駆除するが普通になっている。
30年あまりのうちに駆除数は激増したのだ。ハンター数が減っているのに、駆除数は増えるという逆転現象が起きていた。
そもそもハンター数は、75年に51万8000人だったから、現在は随分減ったように説明されるが、60年代は30万人前後、50年代は20万人を切っている。戦前はさらに少ない。30年代は10万人以下だった。
つまり「ハンターの減少」が、「野生動物の増加」と「獣害の増加」を招いたとは説明できない。むしろ少ない人数で多く駆除しており、ハンターは頑張っているのだ。
クマはともかく、シカやイノシシの駆除数が劇的に増えたのは、報奨金が増額されたことが大きい。かつてシカは1頭5000円くらいだったのが、最近では地域によっては2万円、3万円に達しており、しかも生息数が増加したから捕獲のチャンスも増えた。狩猟に精が出るわけだ。それが新規参入者も増やした。
だが、クマはそうはいかない。シカを撃ち損じてもハンターの身に危険はないが、クマだと逆襲される恐れが強い。それに比して報奨金や出動手当は安いと言われている。
しかも現在求められているのは、人里、とくに市街地に出てきたクマの駆除である。市街地における発砲は条件も厳しい。標的の後ろに人家などがなく、跳弾にならないよう柔らかい土などのバックストップが求められる。射撃技能面からも非常に難易度が高い。
極めて難しい猟銃によるクマの駆除
今年4月には、市町村の判断で市街地での猟銃の使用を可能とする改正鳥獣保護管理法が成立し「緊急銃猟制度」ができた。
通常のイメージでは、クマの駆除と言えばライフルを使用する遠距離射撃だろう。射程は100~400メートル(m)ほどだが、クマは急所に当たらなければ、すぐに倒れず反撃に出ることが考えられる。100mぐらいなら数秒で詰めると言われるが、その間に第2弾、第3弾を発射して仕留めねばならない。
