市街地に入ってきたクマを探して駆除するとなると、距離ははるかに近くなる。人家や田畑、公園の茂み……などに潜んでいる可能性があり、捜索するハンターとの距離はかなり近い。そして突如襲いかかられることも想定しなければならない。
これまでのケースだと50m以下、ときに3~5mの距離で出くわすこともあった。一発で仕留めないと致命的だ。ハンターも相当な心得や技術を要求される。だから複数で行うのが普通だ。
なお市街地で使用するのは、ライフルではなく散弾銃である可能性が高い。散弾銃は、通常は小さな数百粒の散弾で鳥などを狙うが、ここで使用するのは単発のスラグ弾だ。
弾道が安定していて、近距離なら威力がある。しかもライフルと違ってセミオートで3連射できるものが多い。目の前のクマに対応しやすいとされる。
いずれにしてもクマを駆除できる人材が、極めて少ないことは間違いない。
退役自衛官や警察OBの活用
そこで注目を集めるのが、自衛隊や警察など銃の経験者だ。ただ自衛隊が害獣を駆除するのは法的に難しい。その点、警察ならすぐに人命救助の点から法的にクリアしやすく、機動隊にはライフル射撃に長けた隊員もいる。
そこで警察に「熊駆除対応プロジェクトチーム」が結成されて、11月からクマの出没が多発する秋田県や岩手県に運用されている。
だが、こちらも簡単でない。まず警察のライフルはテロ対策用で口径が小さく、弾丸も貫通するためクマなど大型動物には効果が弱い。銃の口径や弾丸をクマ対応用に変えると、弾道も従来とは変わってくるので射撃に一定の訓練が必要となる。
しかも駆除に臨むためにクマの行動や性質などの知識も身につけなくてはならない。やはりクマ撃ちのベテランハンターの研修を受ける必要がある。
また退役自衛官や警察OBを雇用することも考えられているが、いずれにしろ再訓練は必要だろう。
