2026年2月20日(金)

プーチンのロシア

2026年1月4日

長期財政見通しは何を語るか

 このように、プーチン大統領は平常運転を強調しているものの、さすがに25年の低成長を「意図的な調整」と言い張るのは無理があるだろう。

 先日、ロシア経済の現在地につき重要なヒントとなる文書が発表された。ロシア政府が12月11日付で、42年までの連邦財政の見通しを示したのである。ロシア政府は18年間という長期スパンの財政見通しを作成し、それを6年に1回改訂しており、今回その改訂時期が巡ってきたものだった。

 長期財政見通しの付属文書には、歳入(石油・ガス歳入、非石油・ガス歳入)、歳出、財政収支、そしてそれらの対GDP比の予測値が示されている。なお、ロシアの政策文書の通例どおり、予測値はベースとなる「基礎シナリオ」に加えて、より悲観的な「保守シナリオ」との二段構えとなっている。

 ここでは、財政の健全性を見る代表的な指標として、財政収支の対GDP比を取り上げてみよう。その際に、前回の長期財政見通しが発表されたのは19年3月だったので、今回の見通しを前回のそれと比較してみることにする。それにより、ウクライナ侵攻を経て、ロシアの財政シナリオがどのように変化したかを読み取れるはずである。

 そして、財政赤字の対GDP比予測をまとめた図1を見れば一目瞭然で(図1ではプラスが財政赤字を、マイナスが財政黒字を示しているのでご注意願いたい)、ロシアの財政シナリオはウクライナ侵攻の前と後とで、一変している。確かに19年の旧予測でも赤字が続く想定にはなっていたが、その水準は対GDP比で見てごく低いレベルで横這いに推移することになっていた。

 なお、旧予測で、30年以降は保守シナリオよりも基礎シナリオの方が赤字は大きくなるのは、基礎シナリオではプーチン政権が掲げた国民的目標への国家投資が積極的に行われることとなり、保守シナリオではそれが上手くいかずに国家投資が滞るという筋書きになっていたからだと考えられる。

 それに対し、今回の新シナリオでは、財政赤字は当面は25年の2.6%がピークであり、26年以降は低下していくことになっている。だが、30年代に入り再び赤字が拡大していく見通しが示されている。そして、保守シナリオでは26年以降も財政赤字は横ばいで、それが30年代に入ると大きく膨らむと予想されている。


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