ロシア国債はほぼ自国通貨(ルーブル)建てで、国内金融機関による消化が中心になっている。これはデフォルト耐性という観点ではプラスだが、インフレによる実質債務圧縮、通貨安による国民負担の転嫁という形で調整が行われやすい、ということでもある。
つまり、ウクライナ侵攻が残すツケは、一見したところの政府債務残高の数字以上に、将来のロシア国民を確実に圧迫することになる。もっとも、国民がその負担に本格的に苦しむ頃には、もうプーチンはこの世にはいないのだろうが。
戦争終結を決断する瀬戸際?
かつてロシア連邦政府のエネルギー大臣を務め、その後、反プーチンの立場に転じたウラジーミル・ミロフ氏は、10月にインタビューに応じ、ロシアの継戦能力についての見解を披露した。
ミロフ氏によると、制裁はすでにロシアの戦争遂行能力を弱めている。実際、26~28年のロシア連邦予算では、軍事費の増額が止まり、横這いになっている。
兵器・弾薬生産は減少し、軍需産業は資金不足でほぼ利益ゼロとなっている。多くの地域で兵士募集の契約金が大幅に削減されている。いわゆる夏季攻勢が成果を上げられなかったのも、資金不足が大きな原因だ。
軍事経済への転換は、民需経済を牽引できていない。軍需製品は国内経済に還元されず、成長効果がない。民間産業は事実上のリセッション状態だ。労働力不足、資金枯渇、人的損失が深刻となっている。
来年夏に再び大規模な攻勢を行う余力はなく、同じことを続けることはもはや不可能だ。プーチンの行動は予測不能だが、経済的には戦争継続が限界に近づいているという結論である。ロシアはすでに戦争終結を決断する瀬戸際に立っている。ミロフ氏はこのような分析を示した。
筆者も、ロシア経済が重大な局面を迎えているとの認識においては、ミロフ氏と同じだ。しかし、ロシアの経済・財政が向こう1年くらいの間に完全に行き詰り、もうウクライナ侵攻を続けられなくなるかというと、そこまで事態は切迫していないと考える。遺憾ながら、プーチン・ロシアは、自国の未来を抵当に入れる形で、もうしばらく戦争を続けられるというのが、筆者の見立てである。
