そのベースが、この3年間で底上げされてきていることを森保監督も感じ取っている。それはカタールW杯から9カ月後に行われたドイツとの親善試合で、アウェーながら4-1と完勝した試合の体験もそうだし、やはりカタールを経験した選手の多くが個人としてもステップアップし、より高いレベルのステージでプレーすることが日常になっていること。もちろんカタール後の若手の台頭も、ベースアップにつながる。
当時よりも、ベースとして日本代表は強くなっている。その手応えがある中で、森保監督は「(カタールから)この4年間で、全て逆転できるかと言ったら、それは不可能だろう。むしろ、それができると思ってやることがデメリットになることを感じながら、確実に積み上げていかないといけない」と語る。
カタールW杯が暑熱対策もあって通常と異なる冬開催だったため、3年半で次の北中米W杯はやってくる訳だが、その間に優勝候補の国と戦った場合のベースの勝率を20%、30%に高めながら、いざ戦った時に、さらに確率を上げるための対策や準備を本大会に向けてやっていく段階になっている。
日本〝躍進〟のキーワード
そこで改めて、なぜ森保監督が「それができると思ってやることがデメリットになる」と主張したのか。その自覚をチームとして共有していることが、日本代表が北中米W杯で世界一を獲りに行くために欠かせないキーワードになりうるのだ。日本が純粋な力関係で、スペインやカタールW杯で優勝したアルゼンチンを上回ることが難しいのは、代表監督でなくても分かることだろう。
それは代表チームとしての実績だけでなく、選手が個人として戦っているステージというところで、列強国に比べまだまだ日本が劣っているからだ。24−25シーズンの欧州チャンピオンズリーグを優勝したパリ・サンジェルマンのスタメンを見ると、ウスマン・デンベレらフランス代表の選手はもちろんだが、スペインのファビアン・ルイスやポルトガルのヴィチーニャ、ブラジル代表のマルキーニョスと、列強国の選手が大半を占める。そうした強豪クラブに在籍し、主力を争っている選手がどれだけいるかという指標で言うと、日本はまだまだトップオブトップと言えないのが現実だ。
そうした選手のステージで列強国を上回れていないことを認識した上で、森保監督が世界一を狙えると確信する理由が大きく二つある。一つ目は自分たちが大会のダークホースであることを知った上で、選手たちが粘り強く勝利を目指せるメンタリティが”森保ジャパン”の中で共有されていることだ。
「勝てるベースって何なんだろうと。球際とか、ベースの規律みたいなところも徹底してやらなければいけないのは、カタールW杯までの経験があったからこそ、揺らぐことなく、積み上げてくれたかなっていうのはあります。(優勝候補の国と)五分五分と言いたいですけど、まだそこまで行ってないかなというところは正直な感想ですね。でも、やって勝つか負けるかわからない。その勝負に持っていけるぐらいまでは来ていると思います」
森保監督が強調するのは、カタールW杯でドイツやスペインにやってきたような戦いが、よりチーム力のベースが引き上がったところで実現できれば、もっと勝率を高めることができる、ということだ。圧倒できなくとも勝つチャンスはあると分かっているからこそ、試合の中で苦しい時間でも耐えて、自分たちの良い時間帯を最大限に生かして、勝機を高めることができる。
