イデオロギー対現実主義
両者は元々、対外政策をめぐる考えが根本的に異なる。サウジのムハンマド皇太子が実務を重視するガチガチの現実主義者であるのに対し、ムハンマド大統領はイスラム原理主義に反対するイデオロギーを重視する傾向が強い。両者が対立し始めたのは19年ごろからだ。サウジの求めに応じてイエメン内戦に介入したムハンマド大統領は「南部暫定評議会」を支援するようになった。
UAEは湾岸の情報センター、観光・金融の拠点として発展していたが、後発のサウジも同じ路線を目指したことが対立を決定的なものにした。剛腕のムハンマド皇太子はUAEのドバイに支店を置いていた各国の企業に対し、サウジのリヤドに移転するよう要求。拒否すれば、サウジとの商取引をさせないと脅した。
これに怒ったのがUAEのムハンマド大統領だった。ドバイはすでに中東の情報・金融の中心として発展しており、サウジの要求を理不尽な横やりと反発した。大統領はイエメンの南部暫定評議会支援に力を入れ、同時にスーダン内戦でもサウジが援助する政府軍と戦う反政府勢力を手助けし、サウジを揺さぶった。
特にイエメンのハドラマウト州の港は紅海に面しており、大統領には将来的に石油などを輸出する基地にしようとの思惑もある。両国は湾岸産油国で組織する「湾岸協力会議」の最有力メンバーであるだけに、「対立の激化は誰も喜ばない」(識者)と危機感が高まっている。
イラン再攻撃はあるのか
米国のトランプ大統領は昨年12月29日、南部フロリダ州の私邸でイスラエルのネタニヤフ首相と会談。会談後の記者会見で、イランが核兵器や弾道ミサイルの開発など軍備強化すれば、イスラエルとともにイランを再攻撃すると警告した。
イランの核施設は昨年6月、米国とイスラエルの攻撃で大きな損害を受けたが、「これら施設以外で核開発をしている」との疑惑が持ち上がっており、大統領はイラン側を強くけん制したものとみられている。両者はイランの弾道ミサイル開発についても議論。首相が再攻撃の具体的な作戦を説明し、協力を要請したが、大統領の確約を取り付けることはできなかったようだ。
