2026年1月9日(金)

教養としての中東情勢

2026年1月6日

 最近のイランで発生している反政府デモと治安部隊の衝突についても両者は話し合ったもよう。トランプ氏は「イランが平和的なデモ参加者を暴力的に殺害するなら、米国が救出に乗り出す」と述べ、イラン政府がデモを弾圧しないよう要求した。イランは「内政干渉」と反発している。

 昨年末から発生したイランのデモはインフレと通貨リアルの下落に抗議するもので、テヘランで始まり、地方都市や各大学に波及した。インフレ率は42%以上の急騰を見せており、またリアルの価値はドルに対してほぼ半減した。

 インフレとリアルの下落は庶民の生活を直撃。ペゼシュキアン大統領は国民に自制を求めているが、衝突で死者も出始めており、簡単には収まりそうにない。

 ベイルートの消息筋はイスラエルによる昨年のイラン攻撃がイスラエルの特務機関モサドの支援を受けたことに言及、今回のデモの背景には「モサドの暗躍があるのは間違いない」と指摘する。イラン政府が弱体化している中で、イスラエルが「ハメネイ体制の転換」を図る取り組みを強化したのではないかと語った。

ガザ戦争は終わらない

 昨年の10月13日から続いているパレスチナ自治区ガザの停戦が今後も続き、恒久的な平和実現にまで進むのだろうか。答えは「難しい」というのが正直なところだ。トランプ大統領の仲介による停戦はやっと「第一段階」を終えたにすぎない。

 和平を実現するためには「第2段階」を円滑に進めなければならない。最大の難関はイスラム組織ハマスの武装解除である。

 ハマスはパレスチナ自治政府に対してなら条件付きで武器を引き渡すとしているが、イスラエルは自治政府の関与を拒否している。ハマスは殺害された最高指導者シンワル氏の後任を近く選出するとされ、この後任が決まらなければ、武装解除の方針も決まらない。

 この他にもガザの治安を維持する「国際安定化部隊」の設置やハマス以後のガザの統治問題など難問が山積しており、トランプ氏といえども「第2段階」を容易には進められそうにない。イスラエルはハマスが武装解除になかなか同意せず、トランプ氏の忍耐が切れるのを待つ作戦だ。トランプ氏が切れれば、ガザへの最終攻撃がし易くなるという計算だ。

 ガザではすでに7万900人以上のパレスチナ人が犠牲になっており、今回の停戦期間中でも400人以上がイスラエル軍の攻撃で死亡している。ガザ戦争がすっきり終わることはない。イスラエル軍の攻撃が散発的に発生し、当面「平和なき停戦」が続くことになるだろう。

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