2026年1月22日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月22日

 当時の司法省の意見書は、「第2条4項は、国際関係においていつ武力を行使すべきかという、国家が直面する最も根本的な政治問題の一つに関連している」と結論付けている。これは、国民に対して説明責任を負わない裁判所が判断すべき問題ではないのだ。

 即席のアナリスト集団はまた、米国の作戦がプーチン大統領と習近平主席にウクライナと台湾での自由を与えるだろうと主張しているが、モスクワと北京こそ、国際法が邪魔になるとして踏みにじってきたのだ。

 習近平は台湾を奪取するために、新たな法解釈を必要としていない。中国は南シナ海における島嶼奪取を禁じる国際判決を無視している。中国とロシアによる拒否権発動は国連安保理を無力化している。

 世界のならず者に対する唯一の防御策は、西側諸国の軍事力による抑止力だ。その力は、マドゥロ大統領逮捕において完璧な精度で発揮された。そして、アメリカの度胸と軍事力の誇示は、自由世界を守り、ロシア、中国、イランに再考を促す千件の国連決議に優る効果をもたらすだろう。

 近隣の民主主義国家を呑み込もうとするロシアと中国の侵略と、世界最悪の勢力と結託した無法な独裁者を逮捕するためのアメリカの軍事行動を区別できないのであれば、リベラル国際主義は道徳的にも政治的にも破綻している。

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法的整合性

 トランプ政権による今次軍事作戦については、現時点でなお明らかでない点も多く、国際社会においても米国内においても、評価が大きく分かれている。米主要紙が社説等で示すそれぞれの立場も肯定論・否定論で分かれており、それぞれが一定の説得力をもつ議論を展開している。

 上記WSJは肯定論の立場に立ち、今日の国際政治の現実を無視して法的整合性のみを求めること、及び米国の今次軍事作戦を中露による侵略行為と同一視することの愚かさを指摘する。いずれについても本質を突いた議論であると思われる。

 まず、法的整合性の問題について。今日の国際法を形式的に当てはめれば、今回の米国の行為はベネズエラの主権侵害以外の何物でもない。一方で、マドゥロ政権による政敵への殺害、拷問、恣意的拘束を含む目に余る人権侵害、大統領選挙の不正操作、米国等への麻薬密輸、その他多くの不正・腐敗行為の存在は、内外に広く認知されてきたところであり、このような独裁政権を放置しておくべきでないとの考えは多くの関係者が認めるところであろう。

 如何にでたらめで社会に災禍をもたらす者であっても、適正手続きをもって合法的に扱うべきというのは、国内法のように法執行機能が制度化されていてこその話だ。これを法規範のみあって執行機能が脆弱な国際社会にそのまま当てはめることは余りに教条的と言わざるを得ず、この点、上記社説の言う通りである。


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