2026年1月24日(土)

30分の旅

2026年1月24日

 空を見上げよう。

 私が最初に都心でオオタカに出会ったのは、なんと渋谷駅前の宮益坂交差点。真冬の2月のお昼過ぎ、四隅をビルで囲まれた真っ青な空を見上げると、2羽の鳥が旋回している。尖った翼を横に広げ、滑るように滑空し、時々パタパタと軽快に羽ばたく。オオタカだ。つがいだろうか。

 なぜ渋谷の駅上に? 明治神宮と新宿御苑がご近所だからで、どちらもオオタカの繁殖地だ。空飛ぶタカ目線で渋谷を眺めれば、高層ビルはさしずめ山の頂。宮益坂は谷底だ。眼下には、ハトからヒヨドリまで様々な鳥がうろちょろしている。渋谷は彼らの狩り場なのかもしれない。

「追っかけ」がつく都心のタカたち

 ハトよりちっちゃなタカも都内にいる。ツミだ。立派なクチバシ、頑強そうな爪。ちゃんとしたタカである。5月、勤め先の東京科学大学大岡山キャンパスから徒歩10分の池、その脇の神社にお弁当持参でランチと洒落込んだ。と、3人の老カメラマンが巨大な望遠レンズを境内のケヤキの木に向けた。見上げるとツミが小首を傾げてこっちをじっと見つめている。都心のタカにはしばしば追っかけがつく。この3人もそうだ。

 オスプレイ、というと米国の垂直離着陸軍用機のことかと思うかもしれない。が、あれはタカの仲間ミサゴの英名である。ミサゴは世界中の水辺に暮らす。空中でホバリングし、水中に飛び込み、魚を狩る。オスプレイはこの習性をなぞらえてつけられた名だ。

 翼を広げると1.7メートル以上。真っ白な体の目立つ鳥だ。羽田空港の隣にある東京港野鳥公園に行けば、たいがい会える。12月の日曜日午後、公園の汐入の湾内を見通せる岸辺に立つと、高さ10㍍以上から水面に飛び込むミサゴを見つけた。ほんの数秒後、70センチ・メートルはあるボラをわしづかみ(タカづかみ?)にして、水上に飛び出ると、枯れ木のてっぺんにとまって、ボラをついばみ始める。30分後、骨を残して全て食い尽くすと、ミサゴは飛行機の後を追うように空の向こうに消えた。

 多様なタカと出会える街。今度の週末はあなたも今様鷹狩りへ。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。
Wedge 2026年2月号より
世界を揺さぶるトランプ・パワー
世界を揺さぶるトランプ・パワー

1月3日、トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、ベネズエラに対する攻撃を成功させ、マドゥロ大統領を拘束したと発信し、世界に衝撃を与えた。自らを「平和の使者」と称していたトランプ氏だが、戦火の口火を切った格好だ。トランプ氏にとっては、犯罪者を拘束するための法執行をしたにすぎないという認識なのだろうが、議会の承認を得ていないほか、国際法に違反しているという指摘もある。 独裁者を追放するという帰結と、そのプロセスは別に考えなければならない。そうでなければ、「力による現状変更を容認しない」という、戦後80年かけて世界が営々と築き上げてきた共通認識を崩したロシアを誰も批判できなくなる。 そもそも、トランプ氏は積み上げられてきた「ポリティカル・コレクトネス」を否定し、ルールを決めるのは自分だと言わんばかりの行動をとってきた。まさに「トランプ・パワー」である。 そんなトランプ氏を大統領に再度選んだ、現在の米国の政治経済、外交、そして思想などをつぶさに見ていくと、我々が知っているかつての米国から大きく変貌していることが分かる。 それでも米国が日本にとって重要な同盟国にあることに変わりはない。米国とどう向き合っていくのか。世界だけではなく、日本こそ問われている。


新着記事

»もっと見る