2026年1月30日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月30日

 論理的には可能であるが、財政的にも国民感情からも現実的ではない。それでは、これら三カ国以外のミドル・パワーで力を合わせて対抗する余地はあるか。

 分野によっては一定の行動は取れるだろうが、安全保障については、これら三カ国のいずれかが「略奪的で修正主義的」な行動を取ろうとする際に効果的に対抗することは難しかろう。だとすれば、これら三カ国のいずれかと緊密な関係を築くしかない。日本を取り巻く脅威の状況、価値観と共通利益からすれば、米国という選択となる。

米国にとって役立つ存在に

 その意味で、「地政学上のワイルド・ウェスト」にあって、日米同盟はこれまでにもまして重要となっている。それは、日米両国が同じ価値観を共有しているという美しいストーリーから導き出されるのではなく、また、米国が日本の信頼を置く保安官だからでもなく、「略奪的で修正主義的な大国」の三カ国の中で、それが日本にとって相対的に有利な選択であるからということに他ならない。

 これは、日米同盟に対する見方をアップデートすべき必要性を示唆する。相互信頼という紐帯にばかり頼るわけにはいかない。どこかで背負い投げを食らう可能性もある。

 相手にとって役に立つ存在でなければ捨てられる可能性もある。それだけに、自分の力を強くして、相手にとって不可欠であって、無視したり切り捨てたりしにくい存在になる。

 そうしたしたたかさが必要である。それにより、日本の近くに存在する「略奪的で修正主義的な大国」が《力》を使ってアジア太平洋地域で勝手なことをしないよう関与してもらわなければならない。

 日本では、現在の米国に対して懸念と反発の声がある。米国の現状を見れば、米国を頼りにできないと思う気持ちも米国から離れたいと思う気持ちも理解できる。一方、そうした方向に進もうとするのであれば、「地政学上のワイルド・ウェスト」でどうやって自分の利益を守っていくかの方策がなければならない。

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