アカデミズムとビジネスを
つなぐ現職副大統領
ポストリベラルのデニーン氏はアカデミズムに属し、テック右派のティール氏はビジネスの世界の人間である。第3のニューライトを主導する両者は、政治には直接的にかかわってはいない。そうした中で、彼らの理念や思想を米国政治の表舞台へと接続している存在が、第2次トランプ政権における副大統領のJ・D・ヴァンス氏である。
ヴァンス氏はデニーン氏の友人ともいえる人物であり、自らもポストリベラルであることを公言している。ヴァンス氏は、ティール氏のもとで働いた経歴を持ち、ヴァンス氏がオハイオ州の上院議員に立候補して当選した際、ティール氏は献金を含めて全面的な支援を惜しまなかった。その名を一躍世に広めた自伝的著作『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(光文社)の中で、ヴァンス氏は実父の影響でキリスト教福音派の影響下にあったことを記しているが、19年にはカトリックに改宗している。これにティール氏の影響があったことは、たびたび指摘されている。
トランプ氏自身やその周辺の人々の中で現在、トランプ3期目という声がないわけではない。とはいえ、28年に実施される次回の大統領選挙に、トランプ氏は憲法の規定上、出馬することはできない。今後もなお、トランプ続投を求める声が上がり、憲法を逸脱するような動きが生じる危険性は可能性として否定できないが、紆余曲折を経つつも共和党の大統領候補が別の人物に替わるとすれば、少なくとも現状ではヴァンス氏が最有力候補である。
もちろん冒頭にも記したように、最近の米国政治はまさに、「一寸先は闇」である。28年のヴァンス氏がその時、どのように米国の世論で評価されているかは未知数である。そうした不確実さを差し引いたうえでも、仮に次回の大統領選挙でヴァンス氏が共和党の候補になっていたら、その時、米国の新右翼である第3のニューライトはますます、共和党の内外で権勢を誇る思想の流れになっていることだろう。米国の理念が今後、どのように変化するのか、まさにこの数年が山場である。
