ビジネスの好機とする国際大会にも
では、夏開催のWBCそのものは、どんな大会になるのか。本来、真剣勝負の場として最も適しているのは、秋のポストシーズンの後だろう。メジャー経験者も筆者の取材に「春先とシーズン終盤では、選手のモチベーションが全く違う」と、より真剣な勝負を期待できる点を強調していた。
実際、現状の春開催では、米国代表などの現役メジャー選手の「本気度」は、相対的にみれば、日本代表ほどではないという面が否めない。だからといって、秋開催のWBCは、ワールドシリーズの価値を損なうリスクからメジャーがOKすることは難しい。
野球情報サイト「BASEBALL KING(ベースボールキング)」は23年3月、AP通信の記事として、MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーが「WBCは、ワールドシリーズとは別の意味での競技。国際化のために行うものだ」などと語ったことを紹介しており、大会の位置づけを選別している。
メジャーにとって、WBC開催の狙いは、ビジネス機会拡大のための国際化という世界戦略というのが本音だろう。
極論を言えば、「グラウンド上での勝利」よりも「グラウンド外での収益」を手にできれば大会は成功といえる。この点では、メジャー30球団が「グラウンド上」の頂点を決めるワールドシリーズとは「別の意味の競技」という意味も理解しやすい。
そのような位置づけで、WBCが、オールスターという「お祭りムード」のゲームと親和性が高い時期に実施されれば、より多くの現役メジャーが出場したとしても、どこまで「本気」の大会を実現できるか。
加速する「米国シフト」の先に7月開催が本格的に協議され、実現することになれば、日本が愚直に高めてきたWBCの価値を「エンタメ色」を強めるものへ変えてしまいかねない。
